コラム

2025年9月26日

猫の甲状腺機能亢進症とはどんな病気?症状と治療法について

猫の甲状腺機能亢進症とはどんな病気?症状と治療法について

高齢猫がかかりやすい病気のひとつに甲状腺機能亢進症があります。
甲状腺機能亢進症は、7歳以上の猫の10%以上にみられる病気とされています。

ここでは、初期段階では、一見、病気とは判断し難い症状であるため、飼い主さんも見逃してしまうことが多々ある甲状腺機能亢進症について、その症状と治療法をご紹介いたします。

猫の甲状腺機能亢進症とはどんな病気?

甲状腺は、頸のあたりの甲状軟骨、私たち人間の「のどぼとけ」に当たるところのすぐ下にある小さな組織です。
左右1対あります。

甲状腺機能亢進症は、この甲状腺の片側または両側が大きく肥大し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。
甲状腺は、身体の代謝を活発にするホルモンを分泌しているので、甲状腺機能亢進症になることにより、甲状腺ホルモンの分泌量が増えます。
これにより、体の組織の代謝が活発化され、次のようなさまざまな症状が見られるようになります。

猫の甲状腺機能亢進症の症状とは?

それでは、甲状腺機能亢進症のおもな症状をみていきましょう。

  • 行動が活発になり、落ち着きがなくなる
  • 攻撃的になることがある
  • 多飲多尿になる
  • 食欲が異常なほど増しているにも関わらず、痩せてくる
  • 脱毛が見られたり、毛ヅヤが悪くなる
  • 頻脈、心雑音、心肥大が見られる
  • 呼吸が速くなる
  • 嘔吐・下痢の症状がある

甲状腺機能亢進症になると、興奮しやすくなるため、目を見開いていることが多く、叫ぶような鳴き声でよく鳴くようになる、夜鳴きをするなどの症状がみられることもあります。

年齢を重ねる度に、大きな声で鳴くようになったという場合は、甲状腺機能亢進症が疑われますが、慢性腎臓病、膀胱炎などの泌尿器疾患や関節疾患による痛みがある可能性もあります。
いずれにせよ、早めに動物病院を受診しましょう。

前述のように、甲状腺機能亢進症は、一見元気そうに見えるため、飼い主さんの気づきが重要です。
大きな鳴き声、興奮気味、異常な甘え、過剰な食欲にも関わらず体重の減少、多飲多尿などといった気になる症状がみられたら、早めに動物病院を受診しましょう。

甲状腺機能亢進症の症状が進むと、徐々に体力が低下し、食欲もなくなるため、痩せて、嘔吐や下痢を繰り返すようになります。

猫の甲状腺機能亢進症の原因は?

猫の甲状腺亢進症は、甲状腺の細胞が異常に増えることが原因とされています。

甲状腺の腫瘍化が分かりやすい例でしょう。
甲状腺が、異常に大きく腫れあがり、皮膚のうえから触っても分かるほどになることもあります。

多くの場合は良性で、悪性は2%未満といれています。

猫の甲状腺機能亢進症の治療方法について

猫の甲状腺機能亢進症の治療方法について

甲状腺機能亢進症の治療は、甲状腺ホルモンの分泌を抑えることがメインとなります。
そのほか併発されている疾患があれば、併せて治療をすることになります。

甲状腺ホルモンの分泌を抑える治療としては、内服薬の投与、食事療法などといった内科的治療と、甲状腺を摘出する外科的治療があります。

投薬治療について

甲状腺ホルモンの合成を抑える抗甲状腺薬の内服薬を投与する場合、生涯にわたっての投薬となります。
投薬が開始されると、副作用があるかないかに加え、腎数値や症状、甲状腺ホルモン濃度などを確認しながら、投与量を調整していきます。

投薬の量が多すぎる場合、甲状腺機能低下症を引き起こす恐れがあるため、定期的に血液検査を行なう必要があります。

気になる副作用ですが、食欲不振、嘔吐、下痢、痒みなどの皮膚炎、血小板減少、肝毒性などが見られることがあります。
薬の投与の量や回数などは、症状や甲状腺ホルモン濃度によっても異なります。

定期的な検査により調整しなくてはならないため、生涯通院が必要です。

外科的治療について

甲状腺機能亢進症の原因が、甲状腺の悪性腫瘍である場合、投薬や食事療法といった内科治療では効果が見られない場合があります。
そのような場合には、外科手術が行われます。

ただし、年齢や体調によっては麻酔のリスクが高まるため、外科手術ができない場合もあります。
またほかに疾患がある場合も要注意です。

手術自体は、甲状腺を摘出する手術です。
片側だけの場合は、必要ありませんが、両方の甲状腺を摘出した場合には、甲状腺ホルモンを分泌できなくなるため、生涯にわたり、甲状腺ホルモン薬の投与が必要となります。

食事療法について

食事療法は、甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素を抑えた専用の療法食を摂るようになります。
これにより、甲状腺ホルモンの産生が減ってホルモン濃度が下がるため、症状を抑えることができる場合もあります。

ポイントは、療法食を食べてくれるかどうか。
また療法食以外食べさせないことができるかどうかもポイントとなります。

まとめ

甲状腺機能亢進症は、腎不全を併発することもあります。
愛猫がシニア期になり、甲状腺機能亢進症の疑いがある場合、併せてほか臓器の状態も検査することをおすすめします。

いずれにせよ、シニアの猫がかかりやすい甲状腺機能亢進症について、飼い主さんは知識を持っておいたうえで、愛猫に接することが、早めの治療につながります。
ぜひ、この記事を参考にしてくださいね。

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