コラム
2025年9月19日
犬の外耳炎の症状や原因、なりやすい犬種について解説

愛犬の耳を気にしたことがありますか?
実は、犬の耳はトラブルを起こしやすい構造になっています。
そのなかでも外耳炎は、犬がよくかかりやすい耳の病気です。
外耳炎が重症化すると、耳が聞こえづらくなる、真っ直ぐ歩けなくなるなどの症状につながる場合もあります。
ここでは、そんな犬の外耳炎の症状や原因などについてご紹介いたします。
目次
犬の外耳炎とは?
外耳炎とは、耳の入口から鼓膜までの外耳に炎症が起きる病気です。
犬の外耳道は、長くて狭いL字型になっています。
そのため、通気性が悪く老廃物などが溜まりやすいので、外耳炎になりやすいのです。
特に、コッカースパニエルやプードルなど、たれ耳の犬種や耳の毛が多い犬種は、比較的外耳炎になりやすいとされています。
外耳炎の症状
それでは、外耳炎の症状についてみていきましょう。
外耳炎になると、次のような症状がみられます。
- 頻繁に耳や首の辺りをかいている
- 耳から異臭がする
- 頭を振っている
- 耳が赤く腫れている
- 耳から液体が出ている
上記のような症状が愛犬に見られたら、外耳炎になっている疑いがあります。
早めに動物病院を受診しましょう。
外耳炎を放置しておくと、耳道壁が厚くなり耳の穴が狭くなります。
そのため慢性的に外耳炎を発症するようになってしまいます。
慢性外耳炎が続くと、鼓膜の障害、中耳・内耳にまで影響を及ぼし、最悪の場合、外耳道を切除する手術が必要になることもあります。
外耳炎が重症化しているサインとしては、次のような症状があります。
- 常に顔が傾いたままになっている
- 真っ直ぐ歩けない
- 耳が聞こえづらい
外耳炎は、自然治癒することはありません。
重症化する前に、動物病院を受診しましょう。
外耳炎の原因とは?
外耳炎の原因は、おもに4つです。
- ① 外耳炎を起こしやすい体質や構造であること(素因)
- ② 直接的な原因(主因)
- ③ 外耳炎が起こることで成立する要因(副因)
- ④ 外耳炎を悪化させるよういん(象悪因)
それでは、それぞれの原因について、もう少し詳しく見ていきましょう。
①外耳炎を起こしやすい体質や構造であること(素因)
垂れ耳の犬や、パグやフレンチブルドッグ、シーズーなどの短頭種は耳道が狭いため外耳炎を起こしやすいとされています。
またトイプードルなど耳毛が多い犬種も注意が必要です。
このほか、高温多湿で耳のなかが蒸れやすい環境化では外耳炎になりやすいとされています。
耳のなかにできたできものが原因で、外耳炎を引き起こすケースもあります。
免疫力が低い子犬や、免疫力が低下している高齢犬も注意が必要です。
②直接的な原因(主因)
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどアレルギー疾患の犬は、外耳炎になりやすいと言われています。
皮膚の新陳代謝が以上に速いため、フケや皮脂が多く、日常的に特有の臭いと皮膚のベタつきがある脂漏症の子も注意が必要です。
このほか、耳のなかに耳毛や植物など異物が入ったことによる外耳炎や、ミミダニなど寄生虫が原因のものもあります。
③外耳炎が起こることにより成立してしまう要因(副因)
外耳炎に次のような要因が重なることにより悪化してしまうこともあります。
- ブドウ球菌や緑膿菌などといった細菌
- マラセチアといった酵母
- 誤った点耳薬の使用や、洗浄液の影響
外耳炎になると皮膚のバリア機能が低下します。
そのため、上記のような細菌やマラセチアが増殖しやすくなります。
また飼い主さんの誤った耳のケアが原因で外耳炎を悪化させることもあります。
外耳炎の治療方法
外耳炎の治療については、大きく3つあります。
- 耳洗浄
- 点耳薬
- 基礎疾患の治療
これらを並行しながら治療が行われます。
外耳炎の予防について
外耳炎を予防することはできないのでしょうか?
ここでは、外耳炎を少しでも予防するための方法についてご紹介いたします。
私たち人間は自分で耳掃除を行ないますが、愛犬の耳掃除には注意が必要です。
綿棒を使った耳掃除が原因で傷がつき、外耳炎を引き起こすことがあります。
どうしても自分で耳掃除をしたい場合は、一度動物病院に相談しましょう。
外耳炎の予防には、定期的に耳の外側の汚れを拭き取ってあげるだけでも効果があります。
歯磨きやブラッシングの際に、耳の様子をチェックすることも大切です。
耳の様子をチェックするときには、次のチェック項目を参考にしてください。
□ 耳垢が溜まっていないか?
□ 赤く炎症を起こしていないか?
□ 悪臭がしていないか?
上記のうち1つでも当てはまるものがあれば、動物病院を受診しましょう。
ここからは、前述の素因別予防法について見ていきましょう。
垂れ耳
垂れ耳のわんちゃんは、春先からの高温多湿な時期に外耳炎になりやすいです。
高温多湿になる直前2〜3月に、耳のなかの状態を確認しておきましょう。
外耳炎を引き起こしやすい気になる要因があれば取り除き、高温多湿時期に備えます。
短頭種や耳毛が多い犬種
耳には、耳垢を外に排泄する自浄作用が備わっていますが、短頭種や耳毛が多い犬種は、この機能がうまく働かず、耳垢の排泄がしにくい子がいます。
愛犬が該当する犬種である場合には、1〜2ヶ月おきなど定期的な検診をおすすめします。
子犬や高齢犬
子犬の時には、最初の3ヶ月間は、毎月1回、検診を受けることをおすすめします。
動物病院で耳のケアについても聞いておくと良いでしょう。
高齢犬に関しては、3ヶ月に1回程度の定期検診をおすすめします。
まとめ
犬の外耳炎は、よくある耳トラブルです。
また再発を繰り返しがちな耳トラブルでもあります。
外耳炎を引き起こす原因は、いろいろありますが、飼い主さんが、きれいにしてあげようと行なった耳掃除が原因で外耳炎になるケースもあります。
綿棒を使った耳掃除は、むやみにしないようにしましょう。
外耳炎は治療しなければ悪化するばかりです。
重症化すると、鼓膜に障害を及ぼしたり、中耳にまで炎症が広がり、日常生活に支障をきたすことにもなります。
大切な愛犬を守るためにも、自己判断はやめて、日頃から愛犬の耳をチェックする習慣をつけ、定期的に動物病院を受診しましょう。