コラム
2025年6月17日
猫ワクチンは毎年必要?メリットとデメリットから検証!

猫を飼っているご家庭であれば、猫ワクチンについてご存知でしょう。
獣医師からは、毎年の接種をすすめられていると思いますが、
「ワクチンって高い!」
「猫が病院嫌いなので連れて行くのが億劫」
「接種する時期を逃してしまう」
このような飼い主さん、多いのではないでしょうか?
今回は、猫ワクチンの接種のメリット・デメリットについてご紹介いたします。
目次
猫ワクチンの役割
ワクチン接種には、
- 免疫をつけたり強くする
- 感染症の発症や重症化の予防
などの役割があります。
仔猫ほど、免疫力が低く感染症などの病気にかかりやすいうえ、後遺症が残るケースもあります。
成猫であっても、かかると命に関わる感染症もあるため、ワクチン接種は大変重要です。
そのため、獣医師は定期的な接種をすすめているのです。
猫ワクチンの種類
猫ワクチンには、「コアワクチン」「ノンコアワクチン」の2種類があります。
「コアワクチン」は全ての猫に接種することが推奨されています。
猫ワクチンのメリットについて
ここからは、猫ワクチンのメリットについてご紹介いたします。
猫ワクチンの一番のメリットは、感染症の予防ができるという点です。
ここでは、全ての猫に接種することが推奨されている「コアワクチン」によって防げる感染症についてご紹介いたします。
パルボウイルス感染症
別名「猫汎白血球減少症」と呼ばれる感染症です。
この名前のとおり、猫の白血球が失われていく病気です。
感染力が非常に強い胃腸炎で、「猫ジステンパー」とも呼ばれることがあります。
嘔吐下痢、食欲不振などといった初期症状にはじまり、仔猫にいたっては脱水症状を起こし命を落とすこともあります。
この感染症を発症している猫の糞尿や唾液、嘔吐物などに含まれたウイルスを体内に取り込むことで感染します。
輸血や二次感染予防として抗菌薬を投与する支持治療を行ないますが、致死率が高い病気として知られている感染症です。
カリシウイルス感染症
猫上部気道感染症の原因のひとつと言えるのが、カリシウイルス感染症です。
いわゆる猫風邪で、くしゃみや鼻汁、流涙をはじめ、口内炎ができることもあります。
これらの症状からにおいを感じにくくなる、口内炎が痛くてご飯が食べられなくなるため、仔猫のなかには重症になる子もいます。
この感染症の特徴は、回復してもウイルスを排出し続けることがある点です。
感染した猫の鼻水やよだれといった分泌液、くしゃみによる飛沫によって感染するため、多頭飼いの場合は、注意が必要です。
支持治療を行ない、軽症であれば1週間ほどで回復します。
ただし、肺炎が進行して死に至ることもあります。
ヘルペスウイルス感染症
カリシウイルス感染症と同じ、猫上部気道感染症の原因のひとつです。
猫ウイルス性鼻気管炎とも呼ばれています。
結膜炎、鼻炎といった症状に加え、発熱や口内炎をともなうことがあります。
感染した猫のくしゃみや鼻水、よだれなどを介して広がっていきます。
この感染症の特徴は、一度回復していても免疫が落ちれば症状が再発することがあるという点です。
ワクチン未接種の猫の発症率が非常に高く、猫がかかりやすい病気として知られています。
支持治療に加え、抗ウイルス薬を投与する治療を行なうこともあります。
猫ワクチンのデメリットについて
猫ワクチンのデメリットについてお伝えします。
個体差もありますが、デメリットは4つあります。
アレルギー発症の可能性
猫はワクチン接種によってアレルギーを発症することがあります。
1万回のワクチン接種につき51.6例のアレルギー発症が見られます。
アレルギーを発症した猫には、以下のような症状が現れます。
- 活動量が低下する
- 接種した部位の皮膚症状の出現
- 嘔吐下痢などの消化器症状
またアナフィラキシーショックで、呼吸困難になり最悪の場合、死に至ることもあります。
接種してしばらくは、愛猫に変わったところがないか様子を見てあげるようにしましょう。
接種部位肉腫のリスク
猫のワクチンは、皮下注射です。
1万回のワクチン接種に対し、1〜4例の発症なので、確率的には稀ではありますが、ワクチンを接種した部位にできものができることがあります。
これは、転移したり、再発率の可能性があるため、放置すれば命に関わることもあります。
外科療法のほか、放射線療法も合わせてた治療を行なうこともあります。
慢性腎臓病の発生
ワクチンの成分により、ワクチン接種頻度が高い猫が慢性腎臓病を発症する可能性があるという研究結果が2016年に発表されています。
慢性腎臓病になると、体液のコントロールができなくなるため脱水症状を起こしたり、体内の毒素を排出することができないため、食欲不振につながることがあります。
猫にストレスを与える
猫は警戒心の強い動物です。
猫にとって病院は、
- 初めて嗅ぐいろいろなにおいがする変なところ
- 大きな声で吠える犬がいる怖いところ
- 初めて会う人に痛い注射をされたり、体をいろいろ触られたりする嫌なところ
です。
病院に行くこと=猫にとって大きなストレスです。
病院に行くときは、猫ちゃんのストレスを極力少なくできるよう、飼い主さんや家のにおいがするタオルをケージに入れたり、好きなおやつを持っていってあげると良いでしょう。
まとめ
猫のワクチン接種についてのメリット・デメリットについてご紹介いたしました。
感染症にかかると死に至るものもあるため、猫を飼っている飼い主さんにとって感染症は脅威です。
しかしながら、ワクチンで感染症は防ぐことができます。
可愛い愛猫の命を守るためにも、デメリットにも注意しながらワクチン接種について再度考えてみてください。