コラム

2025年10月27日

猫の甲状腺機能亢進症とは?原因や検査、治療について

猫の甲状腺機能亢進症とは?原因や検査、治療について

猫に多い病気甲状腺機能亢進症ってご存知でしょうか?

実はこの病気、あまり症状が出ません。
そのため、飼い主さんは気が付かず、治療をしないまま長期間放置してしまうことも多いのです。

ここでは、猫の飼い主さん必見!
猫の甲状腺機能亢進症についてご紹介いたします。

猫の甲状腺機能亢進症とは?

甲状腺は喉にあり、甲状腺ホルモンを分泌しています。
この甲状腺から異常にホルモンが分泌されてしまう病気、それが甲状腺機能亢進症です。

甲状腺機能亢進症には、特徴的な症状がありません。
中高齢猫に多い病気であるため、飼い主さんは「うちの子も年を取ったなー」と思い、老化現象だと認識したまま無治療のまま長時間放置してしまうということも少なくありません。

猫の甲状腺機能亢進症の原因

猫の甲状腺機能亢進症の原因はおもに次の3つです。

  • 甲状腺の結節性過形成
  • 甲状腺腫
  • 甲状腺がん

上記の3つの原因のうち、甲状腺腫が最も一般的です。
甲状腺がんの発生率は5%未満といわれています。

猫の甲状腺機能亢進症の症状とは?

猫の甲状腺機能亢進症の症状とは?

甲状腺ホルモンの役割は「代謝の促進」です。
体を活発にしてくれる作用がありますが、甲状腺ホルモンが異常に分泌されることで次のような症状が現れます。

  • 食べている量は減っていないのに痩せてきた
  • 食欲がない、もしくは、食欲が旺盛すぎる
  • 嘔吐を繰り返す
  • 下痢を繰り返す
  • 落ち着きがない
  • 元気がない
  • ひんやりした場所を好むようになった

猫が甲状腺機能亢進症になると、上記のような症状が見られるようになるとともに、甲状腺ホルモンが異常に分泌されることで、心筋症や高血圧などを併発し、様々な二次的徴候が現れるようになります。

猫の甲状腺機能亢進症の検査とは?

猫の甲状腺機能亢進症においては、上記のような症状が現れるものの、一見すると老化現象にも見えなくもありません。
そのため、飼い主さんが気が付きにくい面があるのです。
少しでも異変に気づいたら、動物病院を受診しましょう。

動物病院では次のような検査を行ないます。

身体検査で首にある甲状腺を触診すると、正常よりも腫れていることがあります。
ただし、腫れているといってもほんの少しであるため、身体検査で分からないことも多いのです。
そのため、触診で分からない場合、また触診での異常を確信するために、血液検査を行ないます。

血液検査では、甲状腺ホルモン濃度を測定します。
ホルモン濃度が異常に高い場合は確定診断となります。

猫の甲状腺機能亢進症の治療とは?

猫の甲状腺機能亢進症の治療には、2種類あります。
内科治療(薬と食事療法)と外科治療(甲状腺摘出)です。

通常、いきなり手術をすることはありません。
まずは、ホルモンを出させなくする薬を内服し症状のコントロールを目指します。

内科療法の目的は、あくまでも甲状腺ホルモンを減らして症状を改善することです。
決して甲状腺の異常そのものを治療してくれるわけではありません。
そのため、一生涯にわたって内服を続ける必要があります。

また甲状腺ホルモンには、血液の循環を活発にする役割もあります。
そのため、甲状腺機能亢進症を発症すると、腎臓への血流が良くなり慢性腎臓病を患っていたとしても表に症状が出なくなる場合があります。
しかしながら、内科療法を開始することでそれまで、これまで隠れていた慢性腎臓病の症状が出てしまい、甲状腺機能亢進症の治療に加え、腎臓病の治療も必要になることがあります。

これら内科療法を行なったうえで症状の改善が見られない場合には、外科による甲状腺摘出手術を行なうことになります。
このほか、内服薬の副作用が強く出てしまう場合にも外科治療を行なうようになります。

慢性腎臓病を併発していなければ、治療をすることによって、症状は回復し健康な状態に戻る見込みは高くなります。
生存中央値は5.3年ともいわれています。

まとめ

猫の甲状腺機能亢進症は中高齢の猫に多く見つかる疾患です。
特徴的な症状が比較的少ないため、飼い主さんもつい見過ごしてしまう病気でもあります。

しかしながら早期に発見をして適切な治療を行なうことにより、長期間の延命が期待できる病気でもあります。
決して希望を失うような病気ではありません。

猫の甲状腺機能亢進症の適切な治療を行うために大切なのは、定期的な検査です。
検査では、甲状腺ホルモンの測定に加え、腎臓病や高血圧、心臓病についても同時にモニタリングする必要があります。
これらの検査により、甲状腺機能亢進症と診断されたら、しっかりと治療を行なうことで、予後は良好といわれています。

ただし前述したように、症状がわかりにくいことが多いので、早期発見が遅れることもよくあります。
代謝が亢進するせいで食欲が増すため、病気に見えないことが良くありますが、たくさん食べているのに痩せてくるといった特徴があります。

日頃から、愛猫の食事の量や様子などを観察したり、体重を記録しておくと早期発見につながります。

この記事の監修者

おおとりい動物病院 院長 獣医師 佐古田 良

獣医師 佐古田 良

おおとりい動物病院 院長

大田区のおおとりい動物病院です。
病気の相談、診療のみならず、食餌に関する素朴な疑問、日常のケアなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。

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病院名おおとりい動物病院
住所 〒144-0034東京都大田区西糀谷2-11-5 グランドステータス西糀谷1階
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ホームページhttps://ohtorii-ah.com/

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