この記事の監修者

獣医師 佐古田 良
おおとりい動物病院 院長
大田区のおおとりい動物病院です。
病気の相談、診療のみならず、食餌に関する素朴な疑問、日常のケアなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。
| 医院情報 | |
|---|---|
| 病院名 | おおとりい動物病院 |
| 住所 | 〒144-0034東京都大田区西糀谷2-11-5 グランドステータス西糀谷1階 |
| 電話番号 | 03-6423-6747 |
| ホームページ | https://ohtorii-ah.com/ |
2025年6月26日
白内障と聞いて、「高齢の人がなりやすい目の病気」と思った方、正解です!!
ですが、この白内障・・・
実は、人間だけではなく犬や猫にも発症することをご存知でしょうか?
ここでは、犬と猫の白内障について解説していきます。
目次
白内障は、水晶体というレンズの役割を担う目の部分が白く濁る病気です。
どちらかというと、猫より犬のほうがなりやすい病気だと言えます。
白内障を発症すると、目が見えにくくなるとともに、ぶどう膜炎や緑内障につながるリスクがあります。
そのため、早めの発見&症状に合わせた適切な治療を行なうことが大切です。
白内障の原因は、2種類あります。
先天性(生まれつき)と後天性です。
遺伝的要因が関係していると考えられる先天性白内障は、若くして発症することが多くあります。
トイ・プードル、柴犬、チワワ、ミニチュア・シュナウザー、コッカー・スパニエル、ビーグル、ジャックラッセル・テリアなど、さまざまな犬種に先天性白内障は見られます。
早めに発見すれば、進行がそれほど進んでいないうちに治療を始められるメリットがあります。
若いうちからの定期的な眼科検診がおすすめです。
後天性白内障と異なり後天性白内障については、原因があります。
などが原因と見られています。
このうち、老化による白内障については、老齢性白内障と呼ばれています。
7歳以上の老犬に発症することが多く、進行のスピードはさまざまです。
発症して急速に進行し、一気に視力が奪われるという子もいれば、一方で亡くなるまで視力が失われない子もいます。
一方、猫の後天性の白内障は、怪我による後天性白内障が最も多いとされています。
白内障のグレードは、4つに分類されます。
「初発」「未熟」「成熟」「過熱」です。
それでは、それぞれのグレードについての症状を見ていきましょう。
水晶体の白濁が全体の15%未満で、視力の低下はあまり感じない
水晶体の15%以上が白濁している。
視力の低下を感じる。
水晶体のほぼ100%が白濁している。
完全に視力を失っている。
水晶体が膨らんで、水晶体脱臼を起こすことがある。
瞳に切れ込みのような模様が見えることがある。
水晶体の融解や脱臼が起こる。
目のなかに溢れ出した融解した水晶体成分が炎症を起こし、ぶどう膜炎を誘発することがある。

白内障は、初期のグレードである「初発」を過ぎると、視力が低下することから、愛犬・愛猫の行動から白内障を発症しているのでは?と推測することができます。
以下に記すような行動が見られたら白内障を発症しているかもしれません。
□ 物にぶつかりやすくなった
□ 動きが鈍くなった
□ 暗闇を嫌がるようになった
□ 攻撃的になった
このほか、白内障は、水晶体が白濁するという特徴が見られます。
普段から愛犬、愛猫の顔を観察するなど、異変に気がつけるような環境を整えておきましょう。
ただし、進行のスピードには個体差があります。
進行がゆっくりで視力を失うことなく生涯を閉じる子もいれば、あっという間に水晶体が白濁したり、水晶体脱臼を起こすなど、急激な進行が見られる子もいます。
グレードが上がれば、その分併発する疾患のリスクも高まりますし、治療も難しくなります。
治療が困難なグレードまで来れば、眼球摘出をしなければならないようになる可能性もあります。
このような事態を防ぐためにも、できるだけ初期段階で病気を発見してあげるとともに、早い段階で治療を行なうことが重要です。
白内障の治療方法には2種類あります。
です。
内科治療とは、点眼薬とサプリメントで進行を遅らせる治療です。
すでにグレードが上がっているものや内科治療においても進行が進んでしまったものについては、外科手術が必要となります。
「未熟」「成熟」のグレードになると外科手術をすすめられる動物病院がほとんどです。
ただし、進行が進み、緑内障やぶどう膜炎などを併発している白内障には、外科手術ができないことがあります。
前述のように白内障には、先天性と後天性があります。
先天性の場合は、残念ながら予防をすることは難しいですが、先天性、後天性ともに、早めに発見してあげることで、早めに治療に取り掛かることができます。
先天性の場合には、若くから発症することが多いので、まだ若いからと思わず、眼科検診を早いうちから欠かさず行なうことをおすすめします。
白内障は、個体によって進みぐあいはまちまちです。
発症したものの進行がほとんど見られず寿命をまっとうする子もいれば、急速に悪化して、最終的に眼球摘出を余儀なくされる子もいます。
早期に発見することができれば、それだけ早い段階で治療をすることが可能です。
飼い主さんは、可愛いいわが子のためにもぜひ、定期的な眼科検診、日頃からの観察をしてあげてください。

獣医師 佐古田 良
おおとりい動物病院 院長
大田区のおおとりい動物病院です。
病気の相談、診療のみならず、食餌に関する素朴な疑問、日常のケアなど、どんなことでもお気軽にご相談ください。
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